楽曲紹介

四季遷歌(Shiki Senka)
KH-14003
¥2,800(税別)
LP(アナログ)KH-14005
¥3.500(税別)14/8/16 発売
アルバム配信¥3,000 単曲配信¥500(税抜)

  • 収録曲一覧
  • 楽曲説明

1.薫風のしらべ

Melody of summer breeze
Melodie de brise d'ete

2.手紙

Letter
Lettre

3.夏のおもかげ

Remnants of summer
Vestiges de l’ete

4.秋の散歩道

Promenade of autumn
Promenade d’automne

5.めぐり逢い

Encounters
Rencontres

6.春へのあこがれ

Longing for spring
Attendant le printemps

7.想ひ出

Reminiscence
Reminiscence

8.悲しみの果てに

Tothe ends of sorrow
Aux confins de la douleur

四季遷歌(Shiki Senka)

自然かつ洗練された音楽性と日本文学の粋を感じさせる詩の世界。そこに、ウイーンで学んだピアニストの編曲と演奏によって醸し出された、恐らく、過去にも現在にも存在しなかった極めて高級な音楽芸術作品が、ここにある。

このアルバム全体の世界は、平野実貴の弾き歌いの形をとっているが、彼女は、例えばモーツアルトのピアノサナタ全集を録音した世界でも数少ない現役のクラシック・ピアニストであるところを忘れてはいけない。
日本のクラシックのピアノの世界の封建的なところを嫌い、一人ヨーロッパへ旅立ち、向こうで、この人、というピアニストに出会い師事している。また、同時にウイーンフィルのメンバーらともアンサンブルを組み、それがCDとして発売されている。そのような環境で活躍した、その彼女が、「弾き」そして「歌う」のである。また同時に、紗井六耀氏の書いた詞とメロディーに、新しい和声を施し、かつ新しい伴奏を施しているのである。この部分を、ゆめゆめ忘れてはいけないであろう。
私自身、海外のピアノの弾き歌いの女性シンガー、ノラ・ジョーンズ、ローラ・ニーロ、キャロル・キングなどを多く聞き見てきたし、趣味としても好んで聞く。ロバータ・フラックにしても、15歳でピアノ・コンクールで優勝し、ハワード大学でクラシックの勉強はしてははいるが、卒業後すぐにクラブなどの仕事で歌いだしている。ニナ・シモンしかり。こちらは、ジュリアード音楽院である。
しかし、彼女らのそれと同じ次元で平野実貴を聴くことは、明らかに見識違いと言えよう。一般の、ピアノ演奏歌手は、歌が最初にあり、その伴奏としてピアノを弾いている。
一方の、平野実貴は真のクラシックのピアニストであり、ピアノ自体が高い芸術性を持って歌っているところが大きな特徴である。まさに芸術家ピアニストである彼女が編曲し、かつ演奏し歌っているところが、このアルバムの大きな魅力である。

作詞家であり、作曲家でもある紗井六耀の描く旋律は自然で、誰もが聴きやすい流れを携えていることが大きな特徴で、かつその一方で、詩は深い味わいを有していることも大いなる魅力である。
文学における情景描写には、いくつかの傾向があるが、紗井六耀の歌詞はまさに詩の世界である。川端康成、高木のぶ子などに象徴される「光」「匂い」「音」のような表現と合い通じるものがある。
それにしても、彼の詩の世界には、しっかりと囚われてしまう。
つながった言葉の合間から、いやおうなく聞く者の心に流れ込んでくる、きらめく言葉のつづれ織りの世界、まさに独壇場といえよう。

四季遷歌 sideA

四季遷歌 sideB